ギランバレー症候群とは

ある日、普通に生活を送っていると、突然、あなたの手がコップをつかむことができなくなったと想像してみてください。
驚き、恐怖、困惑してしまいますよね。

…これはただの想像ではありません。
ギランバレー症候群という現実の病気の一部なんです。

私が経験し、社会復帰に時間を要し、今も後遺症と向き合っている病気です。

ギランバレー症候群は、体が自分自身に反抗する一種の病気です。

突然、あなたの足が動かなくなったり、手が物をつかむ力を失ったりします。
その病気があることを知らなければ、自分に何が起こったのかわからずに怖く不安になりますよね。

本記事では、ギランバレー症候群について、その原因、症状、治療法について、誰でも理解できるように説明します。

目次

ギランバレー症候群とは

  • ギランバレー症候群とは、細菌やウイルスの感染によって、自分の神経を攻撃してしまう免疫系の病気
  • 手足の力が入らなかったり、しびれたり、痛みを感じたりする
  • この病気は、日本では年間約2000人が発症、人口10万人あたり年間1~2人が発症すると推定
  • ほとんどの場合は自然に回復
  • 重症化すると呼吸困難や心臓の異常などを起こす

ギランバレー症候群とは、人間の体が自分自身を攻撃するような珍しい病気です。

体は普段、細菌やウイルスという外から侵入してくる敵を守るために、免疫システムを持っています。
この免疫システムが誤って自分の体を攻撃してしまうのです。

具体的には、神経を覆っている保護カバー、つまり「ミエリン鞘」が攻撃されてしまいます。
このミエリン鞘が破壊されると、神経から筋肉への指令がうまく伝わらなくなるのです。
その結果、筋肉が思うように動かなくなってしまいます。

これがギランバレー症候群の特徴です。

ギランバレー症候群が起こる理由

体を、一つの大きな城と想像してみてください。

城は大きくて堅固で、敵から守るために兵士がいます。
これが免疫システムです。
兵士は普段は外から侵入してくる敵、つまり細菌やウイルスを退治するのが役割になります。

しかし、これらの兵士が混乱してしまい、誤って城(つまり自分の体)を攻撃してしまうことが…
これが自己免疫反応というもので、ギランバレー症候群の主な原因になります。

兵士たちが手足を動かすために必要な電線の保護カバー(ミエリン鞘)を敵と間違えて攻撃しました。
その結果、神経から筋肉へのメッセージがうまく伝わらなくなって、手足が思うように動かなくなったり、しびれたりします。

この混乱は、何かの感染症、例えば風邪や胃腸炎の後に起こることが多い傾向です。
つまり、兵士たちは本当の敵を倒した後、なぜか自分たちの城を攻撃してしまう現象が症状の理由になります。

ギランバレー症候群になるリスクは、感染症にかかった後に高まると言われています。
特に、カンピロバクター、サイトメガロウイルス、EBウイルスなどの感染が原因となることが多いです。
新型コロナウイルス感染の後にも発症するケースが報告されています。

しかし、感染症にかかっても必ずギランバレー症候群になるわけではありませんし、感染症と関係なく発症することもあります。
年齢や性別によるリスクの差はあまりないそうです。

症状と診断

症状

ギランバレー症候群の症状は人によって違います。
一番よく見られるのは「手足の脱力」。
突然始まり、日に日に悪化することが多くみられます。

例えば、最初は階段を登るのが少し難しくなるかもしれないけど、数日後には歩くのが難しくなることもあります。

この他にも、感覚が鈍くなったり、顔の筋肉が動かなくなったり、息が苦しくなったりすることがあります。
必ずしも全ての人に起こるわけではありません。

  • かぜや下痢などの感染症状があった後、約1-2週間で両手足にしびれや力の入りにくさが始まる
  • 筋力低下は徐々に体の中心に向かって広がり、胴体や顔面の筋肉にも影響する
  • 反射が減弱したり消失したりする
  • 呼吸困難や不整脈などの自律神経系の障害が起こることもある
  • 疲れやすくなることが多い

診断

主に2つの方法があります。

「神経伝導速度検査」
電気的な刺激を使って神経がどれだけ早く筋肉に信号を送ることができるかを調べる方法。

「脳脊髄液検査」
脊髄から少しの液体を取って、その中に異常な反応があるかどうかを調べる方法。

これらの検査はすぐには結果が出ないことや、最初の症状が他の病気と似ていることがあるので、診断は難しいことが多くなります。

脳卒中
顔面神経麻痺や外眼筋麻痺などの脳神経障害がある場合、脳卒中と誤診される可能性
しかし、脳卒中では通常片側のみに症状が出るのに対し、ギランバレー症候群では両側に症状が出ることが多い

筋萎縮性側索硬化症(ALS)
手足の筋力低下や筋萎縮などの運動神経障害がある場合、ALSと誤診される可能性
しかし、ALSでは反射亢進や筋硬直などの上位運動ニューロン障害が見られるのに対し、ギランバレー症候群では反射低下や筋弛緩などの下位運動ニューロン障害が見られる

ポリニューロパチー
手足のしびれや感覚障害などの末梢神経障害がある場合、ポリニューロパチーと誤診される可能性
しかし、ポリニューロパチーでは通常感覚障害が先行し、筋力低下は後に出現するのに対し、ギランバレー症候群では感覚障害と筋力低下が同時に出現することが多い

治療法と回復

治療

軽度の場合は、経過観察や対症療法で様子を見る場合があります。

重度の場合は大きく2つの治療法があります。

「血漿交換療法」
体から血液を取り出して、その中にある攻撃的な免疫物質を取り除き、再び体に戻す方法。

城の兵士が誤って攻撃した部分を修復するようなものです。

「免疫グロブリン療法」
体に免疫物質を注入して、自分の体を攻撃する免疫反応を抑える方法。

混乱した兵士たちを落ち着かせる新しい指令を出すようなものです。

これらの治療法は、症状の進行を遅らせ、回復を助けることができます。

呼吸困難や嚥下困難などがある場合は、人工呼吸器や経管栄養などで対処することもあります。

予後

回復は人それぞれで、時間も様々です。

症状は発症後 4週間以内にピーク に達し、その後は徐々に改善していきます。
しかし、完全に回復するまでには 半年から1年 ほど必要な場合もあります。
また、一部の患者さんは 後遺症 を残すこともあります。

ギランバレー症候群になったとしても、絶望的なわけではありません。
適切な治療とサポートがあれば、多くの人々が生活を取り戻すことができます。


ほとんどの場合、再発することはありません。
ただし、報告にもよりますが、完治(完全寛解)した後、2%から5%程度に再発がみとめられます。
再発とは別に、治療後に一度は改善(寛解)するものの、再び症状が表れさらに悪化(再燃)することもあります。
再発や再燃では、脳神経障害、呼吸困難などの症状が出る場合が多いそうです。

後遺症

予後は個人差がありますが、約7割の患者が半年以内に日常生活をおくれるようになります
しかし、10~20%の方に後遺症が残ることも…

  • 発症時に手足の麻痺や筋力低下が重度だった場合
  • 発症時に50歳以上だった場合
  • カンピロバクター菌などの感染による下痢症状の後に発症した場合
  • 発症から症状が急速に悪化した場合
  • 呼吸不全により人工呼吸器を必要とした場合

こういった方に、後遺症が残ることが多い傾向にあるそうです。

予防方法

ギランバレー症候群の予防方法については、はっきりとしたものがありません。

これは、ギランバレー症候群が体の免疫システムの誤作動によって引き起こされるからで、その原因は完全には解明されていないからです。

しかし、ギランバレー症候群は感染症の後に発症することが多いから、感染症を予防することがギランバレー症候群の予防にもなります。

  • 手洗いやうがいをこまめに行う
  • 食品の衛生管理に注意する
  • 体調が悪いときは無理をせず休む
  • 予防接種を受ける
  • 人混みや密閉空間を避ける
  • マスクや消毒液を使用する

もし何か体調がおかしいと感じたら、早めに医師の診察を受けることが大切です。
ギランバレー症候群は早期に発見されれば、適切な治療が可能で、回復の見込みも高まります

まとめ

ギランバレー症候群は、体の免疫システムが誤って自分自身の神経を攻撃してしまう病気です。

この病気の主な症状は、手足の弱さで、これは日に日に悪化することが多くみられます。
他にも感覚が鈍くなったり、顔の筋肉が動かなくなったり、息が苦しくなったりすることもあるので注意しましょう。

ギランバレー症候群の治療は、主に血漿交換療法と免疫グロブリン療法
これらの治療法は、症状の進行を遅らせ、回復を助けることができます。

でも、ギランバレー症候群の回復は人それぞれです。
一部の人々は数週間でほぼ完全に回復することもあえいますが、数ヶ月、あるいはそれ以上の時間が必要なことも…

ギランバレー症候群の予防方法については、現在の科学でははっきりとしたものはありません。
しかし、感染症を予防することはある意味でギランバレー症候群の予防につながると考えられます。

以上がギランバレー症候群についての基本的な情報です。

私は今も後遺症と闘っています。

参考サイト:medicalnoteKOMPASMEDLEY

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